荷物を最低限にし軽量化することで、カラダへの負担を減らし、気持ちよく・余裕を持って走る。
キャンプ地ではシンプルな道具で、リラックスした時間を過ごしながらコンディションを整え、回復につとめ、翌日も元気に走り切る。

単純な体力勝負ではない、工夫・やりくりがステージレースの醍醐味です。

なんで荷物を軽量化するのか?

7日間、250km部門のトップ選手の荷物。6日目の写真なので食料はだいぶ減っていますがこのサイズです。

レースを快調に進むためにも、白山麓の景色を存分に楽しんでいただく余裕を持ってもらうためにも、荷物の軽量化は必須と考えます。

軽量化をすることで、

  • より軽快にトレイルを進むことができ、時間・体力・気持ちの面で余裕ができ、安全に楽しくレースを進めることができます。
  • 荷物が軽いことでランニングフォームを保て、膝や足腰への負担も抑えられます。

例年、順位を落としがちな人ほど荷物が重すぎる傾向がみられます。
今回からレースの実績が少ない方には荷物の重量制限を設けます。

もし、あなたがチェックポイントでバックパックを下ろして座り込みたくなるほど疲れる場合は「ペースが速すぎる」か「荷物の持ちすぎ」です。

何日も長距離を走るステージレースでは、無理は通用しません。

軽量化しても、多くの選手は毎日のステージを終えたときはこうなります

荷物が重いと

  • 重さで姿勢が前屈みになる、不自然な姿勢が体への負担を生む
  • 重いバックパックは度々降ろしたくなり、休憩が増え、時間のロスにつながる
  • 疲れたとき・不調なときに、荷物の重さがペースの低下に追い討ちをかける
  • 疲労感・集中力の低下により、つまらないことで怪我をしたり、事故、道に迷ったり
  • 重さで余裕がなくなると、せっかくの景色やほかの選手との会話を楽しめなくなる
    疲れを感じると無意識のうちに不機嫌なりがち。周りの選手やスタッフにも気持ちのいいものではありません 。
    (天気の悪いなか、トレイルの途中で疲労困憊で座り込んでしまい、なんだか不機嫌な選手。それをなだめすかすスタッフ、、、毎年の風景です。)

白山ジオトレイルは獲得標高(コースでのアップダウン)が多い大会です。 荷物が重く、ツラい、疲れたという思い出しか残らないのは残念です。

あなたはじっとり暑い真夏の山を汗だく、つりそうな脚で登っています。
肩にズシッとくるバックパックの重さを想像してみてください。

1gでも軽く

ステージレースを完走するコツを経験者に聞くと全員が言うのは「荷物のムダは削って、軽くしておくこと」。

皆さん数々の工夫をされています。

  • バックパックの不要なパーツを外し、各ストラップも自分の体格では使わない部分は切り落とす。
  • 食糧の不要なパッケージは事前に外し、個別包装を捨て、ひとまとめにする選手も。
  • ウェアのタグなど、必要のない部分を切り落とす。
  • 体脂肪を落とし自分のカラダも軽くという選手も。 よからぬダイエットで筋肉まで落とさないように。

とはいえ、むやみやたらに軽量化すればいいわけではありません

軽量化の原則
・各装備の重量を知る
・重たいものから対策をねる
・多目的アイテムを使う
・安全と信頼、そして修理可能な道具を選ぶ
・必要な中で最小のものを選ぶ
・使わないものは持っていかない
・ウルトラライトな装備は万能ではない

軽量化の原則 | Hiker's Depot

ぜひ引用元のサイトの解説もご覧ください。
より詳しく知りたい方は書籍「ウルトラライトハイキング」を。

山頂で景色と記念撮影を楽しめる余裕を。

荷物を削るのは不安というときは

一度、同じような条件でキャンプをともなうテストをしてみて、迷っている装備を念のために持って行っても、使わないで過ごしてみる。

それで、無くても大丈夫なのか、自分には必要なのか判断する。

テストを何回も繰り返し、段階的に削る。

回数を重ねることで自分にとって最適な軽量化にたどり着けます。

スキルが上がれば、より軽量化できる

多くの道具は、万人が便利に使えるよう多機能に、丈夫に作られています。

一方で、より軽い道具たちは、シンプルな機能で軽く作られているため、使う側の工夫や他の道具とうまく組み合わせることが求められます。

また、軽量に作られた道具はマージンを削っているので、雑に扱うと穴があいたり壊れやすいです。

ちょっと不便なことに慣れ、楽しみながらやりくりができると、軽量化につながっていきます。

また、経験を積むことで、「念のため」と多めに持ったりすることもなく、必要な分だけ持ち、結果バックパック全体で軽く抑えることができます。

知識とスキルは重さゼロの安全装備です。実際のトレイルに何度も出かけて行き、自分にとっての落とし所を見極めてみてください。