体温を奪われる4つの経路

怪我などで動けず、雨に濡れた状態で風にさらされると、夏でも低体温症が心配です。
もし安全な温かいところで過ごせないことがあれば、できる限りの低体温予防に努めましょう。

まずは、体を濡らさないこと。
濡れてしまった場合は、理想的には衣服を脱いで体を拭き、新しい乾いた服を着ること。しかし、過酷な環境ではそれを許さない場合もあるかもしれません。

そんな時は、現場にある道具を工夫して使い、人間の体温が奪われていく4つの経路を効率的に遮断するようにしてみましょう。

気化熱

濡れた体や衣服が乾くなかで奪っていく熱。 ポリ袋や防水性のシートを体に密着するところ(首や袖口)に巻き、出口を完全にふさぐことで気化を起こさないように(起こしにくく)することができます。

熱放射

人間は常に体から熱を放出している生き物です。 衣服や寝袋など「熱をため込めるもの」をできるだけ体の近くに置きましょう。 特に、エマージェンシーシートは放射を効率的に反射し、熱の放出を防ぎます。 そういった熱をため込めるもの中に、ゆたんぽ(お湯をボトルに入れるなど)などの熱源があればなお理想的です。

対流

風などによって、体温はどんどん奪われていきます。 体の一番外側にシェル(レインギア)、シェルター、テントなどを用いて風を防止します。

伝導

地面など体が直接触れているとこからは体温がどんどん奪われていきます。 直接地面に寝る、座ることは避け、バックパック、スリーピングマットなど断熱になるものを何かしら地面に敷くようにしましょう。シートを引くだけでは不十分です。

これらの経路を意識して、あるものを使って徹底的な保温に努めましょう。

カロリーと水分の摂取も

体の熱生産をサポートするためには、積極的なカロリーと水分の摂取も欠かせません。飲食も怠らないようにしましょう。
体温が奪われる状況で、疲れ切って体の中のエネルギーが空っぽだと体温を保つことができません。あらかじめ天候悪化を見越して補給しておくことが予防・軽減につながります。

それでも…

  • 震えが止まらない。
  • 意識が朦朧としてきた(声をかけても反応が薄い)。支離滅裂なことを言っている。

などの症状が現れた人は「低体温症」の可能性が高いです。
近くの大会スタッフに伝えるか、難しい場合は救急車を呼ぶ、あるいは病院へ急ぐようにしましょう。

低体温症は予防できます。知識で防止していきましょう。

https://www.wildmed.jp/sheet.html